「………え……?」
小さく呟いた、V字カットヤローの困惑した声。
ごめんな、と思ったけど、どうしても思い出せなくて。
オレは誰?
君は誰?
どうしてそんな表情してンの?
どうしてオレは、こんなとこで寝てたの?
「ちょ、待って。なあ宍戸、冗談やったらちょおタチ悪いで」
「そーだよ!嘘でしょお?ビビるけど、騙されないC!」
引きつった笑みで無理に明るく振る舞う2人。
でも、そんなこと言ったってさ。
「………ごめ…だって、オレ、よく思い出せないんだ……」
「宍戸……?」
「オレって、宍戸ってゆーの?何でこんなとこ寝てたの?なあ、お前らは誰?」
嘘じゃないんだ。
誰か教えてくれ。
思い出せなくて気持ちが悪ぃ。
「が、……ッ岳人!医者呼んでこい!!」
「あ……おぅっ」
「なぁ。頼む、教えてくれよ……」
呆然とオレを見つめていた、泣きぼくろのヤツをジッと見て言った。
そいつは信じられないという風にオレを凝視して、その端麗な顔は眉間に皺を寄せられて。
別にそんな感じじゃないけど、何故か、オレには泣きそうに見えた。
てかマジ、俺が泣きたいんだ。
分からない。
オレの名前は何だった?
こいつらは誰だった?
何でこんな所に居るんだっけ?
何があったんだろう?
分からない。
誰か教えてくれ。
あれか、これは記憶喪失ってヤツかよ?
分からない。
わかんねぇよ………
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