「あ、跡部やん?」
「ぁん?何だ忍足。お前もいたのかよ」
「ん、ちょっと買い物しててん。それよか、随分真剣に見るなぁ?」
「だって、オレの恋人に致命傷負わせたら殺しに行かなきゃなんねーだろ」
「…鳳の墓ができひんことを祈るわ。……なぁ跡部?」
「ぁんだよ」
「あんな、宍戸を鳳にとられて悔しくないん?」
「…は?なんだそりゃ」
「せやから、宍戸が特訓の相手鳳に使命したんやろ。何でオレじゃないんやー、とかそういうのはないん?」
「ああ、全然。むしろそんなん言ってきたってオレは断るぜ」
「……え、ほんま?意外やー」
「何でだよ。オレはあいつに手を貸すなんて真っ平だぜ。それにあんな練習、仮にも好きなヤツにサーブぶつけて気分ワリィだろ」
「……そーやけど」
「つーか、宍戸は……亮はな、オレをそーいう対象に見てねぇよ」
「そーいうって、どんなん?」
「だから、…あー…何つーか、あいつはオレの手を借りることは絶対ないってことだよ。オレはヤツの目標なんだから、そのオレがヤツの手助けするなんてバカみてぇだろーが」
「……そーか?」
「そーだ。だからオレもヤツをここから見下ろしてやるだけ。あいつが這い上がってきやがんのを待ち受けて、ンで返り討ちにしてやるだけなんだよ」
「…そーゆぅもんなん?オレにはわからんなぁ」
「分かんなくてもいいぜ。心配しなくたってあいつにはオレしか見えてねぇんだからな」
「うーわ。すんごい自信やなあ」
「オレは亮の前を走らなきゃいけねぇんだ。でも気ぃ抜いてたらすぐ追いついて来やがるから、おちおち後ろ振り返って待ってやってる暇なんかねぇ。まぁ今はまだぜんっぜん遠いけどな」
「……恋人やのにずいぶんと手厳しいンやねぇ」
「まぁ、オレたちは恋人の前に最大のライバルだからな。ガキの頃から、ずっとだ」
「………さいですか」
「おーよ」
「何か最大のノロケ聞かされた感じやわ。ンじゃ、お先」
「ああ、明日朝練遅れンなよ」
「善処するわ」
「じゃーな」
「はいはーい」
end.